プリズンホテル〈2〉秋

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花沢支配人は青ざめた。
なんの因果か、今宵、我らが「プリズンホテル」へ投宿するのは、おなじみ任侠大曽根一家御一行様と警視庁青山警察署の酒グセ最悪の慰安旅行団御一行様。
そして、いわくありげな旅まわりの元アイドル歌手とその愛人。
これは何が起きてもおかしくない…。
仲蔵親分の秘めた恋物語も明かされる一泊二日の大騒動。
愛憎ぶつかる温泉宿の夜は笑えて、泣けて、眠れない。

Chinese (Traditional)

☆ 日本狂銷160萬冊之極道小說系列傑作
☆ 繼《鐵道員》、《椿山課長的那七天》後,日本直木賞國民天王淺田次郎又一感人鉅獻
☆ 淺田作品中改編成電影、電視劇、舞台劇、漫畫次數最多的小說

渴望親情的乖僻小說家 VS. 纖細易感的超齡小女孩;
抑鬱不得志的資深警員 VS. 嫉惡如仇的暴力刑警;
過氣的偶像玉女歌手 VS. 墮落的小白臉經紀人;
今晚,監獄飯店中即將展開一場溫馨爆笑、有血有淚的故事!

  黑道大哥木戶仲藏經營的深山溫泉紫陽花飯店,由於招待的客人大多為黑道團體,因此當地居民稱之為「監獄飯店」。

  故事就從小說家木戶孝之介收到關東櫻會總長的訃聞開始。孝之介為了取材而前往弔唁,葬禮結束後便直接投宿於監獄飯店。怎料陰錯陽差之下,黑道家族大曾根和青山警署的警員們,竟在同一天入住飯店,而阻隔這場黑白兩道交鋒的,只有宴會廳中的一道屏風?!此外,其他的房客還包括四處巡迴演出的過氣女歌手和她的經紀人、善於操控媒體而聲名大噪的通緝犯……

  一群不可思議的男女,在這愛恨交織的夜晚會併出什麼樣的火花?而老闆仲藏大哥年輕時的秘密戀情又是否能夠開花結果?

English

浅田次郎[アサダジロウ]
51年東京生。「地下鉄に乗って」で第16回吉川英治文学新人賞、97年「鉄道員」で第117回直木賞、00年「壬生義士伝」で第13回柴田錬三郎賞受賞

Chinese (Traditional)

淺田次郎
原名岩田康次郎,1951年12月13日生於東京。高中畢業時,因三島由紀夫自殺事件的影響而加入自衛隊。期滿退役後,歷經各種工作,讓他擁有細膩多感的特質和豐富的生活經驗,形塑了他的寫作風格。1991年40歲時,以《被拿走還得了》一文初試啼聲。早期的作品是以黑道小說為主,1992年開始連載、1993年首次出版的《監獄飯店》系列便是代表作。1995年,他以《穿越時空.地下鐵》獲得吉川英治文學新人賞。1997年,更以《鐵道員》一舉奪得日本文學大獎直木賞,奠定了他在日本文壇的地位。

  淺田次郎的小說取材廣泛,文字風格多樣,除了現代小說、短篇散文,也有《蒼穹之昴》、《中原之虹》等以中國歷史為主題的長篇小說。他有許多作品在日後成為電影或電視劇的題材,可說是傳承日本大眾小說文化的小說家。例如《椿山課長的那七天》,他以幽默風趣的筆調嘲諷官僚制度的不合理,引人發噱,同時又能刻劃出真摯的親情及愛情,令人動容。又如《鐵道員》,改拍成電影後獲得國際影壇的注目,更將他的文學推向世界級。

  淺田次郎說過「寫作是我最大的興趣」,在將近20年的作家生涯中,創作力源源不絕,出版了超過70本著作,自稱「小說的大眾食堂」。讀者也因為他作品中平淡卻豐潤的人情味,封他為「平成的催淚作家」。他目前擔任多項文學獎審查委員,諸如直木賞、吉川英治文學新人賞、山本周五郎賞等。

得獎記錄

★1995年以《穿越時空.地下鐵》獲得第16屆吉川英治文學新人賞。
★1997年以《鐵道員》獲得第16屆日本冒險小說協會大賞.特別賞及第117屆直木賞。
★2000年以《壬生義士傳》獲得第13屆柴田鍊三郎賞。
★2006年以《切腹》獲得第1屆中央公論文藝賞、第10屆司馬遼太郎賞。
★2008年以《中原之虹》獲得第42屆吉川英治文學賞。

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試し読み
1


 「一点地六の賽の目次第に罷りますのも、
  また乙なもんでござんす」
     ――長老は会葬者たちに向って言った。
 八代目関東桜会総長・相良直吉の訃報を受けたのは、晩秋の夜更のことだった。
 時間割どおりに午前一時に起床し、さてこれから仕事にかかろうと机に向かったとたん、背後で不愉快なピー音が鳴った。
 ぼくは自分がからきし機械オンチなせいもあって、いわゆるOA機器のたぐいが大嫌いだった。とりわけこのファックスというヤツの、てめえの意思を一方的に通達するという身勝手さには、つねづね我慢がならなかった。
 小学校の通信簿では、左欄の学習成績が常に「オール5」であったにも拘らず、右欄の性格所見――社交性、協調性、明朗性、責任感、正義感――等がすべて「C評価」であったぼくは、自分で言うのも何だが、つまりひどく偏屈な人間なのである。まがりなりにも小説家となった今、そんなぼくに対する周囲の通信手段は、会って話すよりも電話、電話より手紙、手紙よりファックスがベストであることは――それはよくわかる。
 しかし、だからと言って朝っぱらだろうが真夜中だろうがお構いなしに送られてくるファックスにはいささか閉口させられていた。一般の人々とは昼夜の生活が逆転しているぼくにとって、これはほとんど威力業務妨害に等しかった。
 で、いつもの通りにぼくはファックスに必殺の回し蹴りを見舞って床の上にダウンさせてから、「ざまあみろ、少しはコリたか」と呟いて通信用紙を引き破った。

〈前略。関東桜会の相良総長が急逝しました。ぜびこのチャンスに義理事の実態を見聞しておかれますよう、切に希望いたします。まずはご連絡まで。草々
 木戸孝之介先生                     発 丹青出版〉

「なにが先生だ、バカヤロウ」
 ぼくは見えぬ発信者を罵りながら、通信文をもみしだいた。
 小説家と呼ばれる人々はみな一見ひよわそうだが、実は乱暴者が多い。作ることとぶっこわすことは同じ仕事のうちだから、自然そうなる。しかし対する編集者たちはみな一見ひよわそうで、実際ものすごくひよわだから、「切に希望する」場合にはしばしばファックスの深夜発信という手が使われるのだ。
 こんなことを昼日なかの喫茶店で言われたら、ぼくはたぶん回し蹴りをくれないまでも、コーヒーを頭からぶっかけているにちがいない。
〈仁義の黄昏〉シリーズの大ヒットにより一躍ベストセラー作家の仲間入りをしたぼくの筆は、このところいささか遅滞していた。べつにスランプというわけではない。同じ業界の同じような話を八巻も続ければ、読者はどうか知らんが書く方はいいかげん飽きるのだ。
 そこで、全く衛生上の理由からフト思い立って、注文もない恋愛小説なんぞを書き始めた。〈仁義の黄昏・PART8〉は、「某組長が跡目を決めずに急逝した」という所でほっぽらかしてある。誰が考えたって、その後は跡目をめぐる幹部たちの抗争が繰り広げられるに決まっているのだが、緊迫した葬式の場面を書き出して、ウンザリした。第一巻から勘定してみたら、組長が跡目を決めずに急逝したのは、これで四度目だった。
 丹青出版には「葬儀のイメージが湧かない」と、ミエミエの嘘をついている。ひよわな編集者がおそるおそる送ってきたファックスには、つまりそういういわれがあるのだ。
 ぼくは天使のようなアイドル・タレントと、彼女が郷里に残してきた純朴な農村青年との甘い恋物語の原稿を投げ出して、しばらくの間ぼんやりと夜の窓を見つめた。
 街灯に浮かぶ欅の葉は、季節のうつろいとともに秋色を深めて行く。なんだか長い付き合いの女の体が、次第に衰えながら色っぽくなって行くような不安とときめきを、ぼくは感じた。
 木戸孝之介という、生まれながらにして小説家みたいなぼくの名前は、自分が志向する純文学とはまったくちがったバイオレンス極道小説の道を、勝手にひとり歩きしているのだった。
 だが、待てよ――偏屈だが妙に素直なところのあるぼくは、ふと思い直して、もみしだいたファックス用紙を広げた。
「関東桜会」という組の名前には聞き覚えがあった。考えるほどもなく、ぼくはついひとりごちた。
「なんだ。おじさんのところじゃないか」
 ヤクザの大幹部で、総会屋の大立者で、近ごろではさる温泉場に奇怪なリゾート・ホテルを経営する仲蔵叔父の顔が思い泛かんだ。

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